健康保険は、私たちや家族が病気やケガをした際に経済的な負担を軽減してくれる大切な制度です。今回は、その健康保険における「被保険者」の種類と、保険給付を受けられる「被扶養者」について分かりやすく解説します。
健康保険の加入者:被保険者とは?
健康保険に加入している人を「被保険者」といいます。被保険者は、働き方や加入している健康保険の種類によって、いくつかの種類に分けられます。
1. 一般の被保険者:多くの会社員や公務員が該当
これは、国籍や年齢に関わらず、適用事業所(健康保険に加入している会社や事業所)で働く人のことです。健康保険の被保険者の大部分がこの「一般の被保険者」に該当します。
2. 日雇特例被保険者:特定の日雇い労働者
適用事業所で働く一定の日雇い労働者の方を「日雇特例被保険者」といいます。保険料や給付の内容など、一般の被保険者とは異なる点があります。
3. 任意継続被保険者:退職後も条件を満たせば継続可能
会社などを退職した方が、一定の要件を満たすことで、原則として2年間、それまで加入していた健康保険の被保険者資格を継続できる制度です。
4. 特例退職被保険者:特定の健康保険組合の加入者だった方
「特定健康保険組合」に加入していた方で、厚生年金などを受給している方が、退職後も元の健康保険組合に引き続き加入できる制度です。ただし、特定健康保険組合は一部の財政状況の良い組合に限られるため、特例退職被保険者の数は多くありません。
保険給付を受けられるもう一人:被扶養者とは?
被保険者だけでなく、その家族である「被扶養者」も、病気やケガをした際に保険給付を受けることができます。しかし、誰もが被扶養者になれるわけではなく、その範囲や収入には一定の要件があります。
被扶養者の範囲:誰が対象になるの?
被扶養者として認められるには、日本国内に住所があり、原則として被保険者の収入によって生計を維持されている必要があります。具体的な範囲は以下の通りです。
被扶養者の範囲
日本国内に住所を有し、主として被保険者の収入により生計を維持されている人を「被扶養者」といいます。被扶養者の要件および範囲は、次のとおりです。
被扶養者の要件 | 被扶養者の範囲 |
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主として被保険者に生計を維持されている人(別居可) | 被保険者の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母) |
配偶者(内縁関係の者も含む) | |
子(養子も含む)、孫および兄姉弟妹 | |
被保険者と同居し、かつ被保険者に生計を維持されている人(同居必須) | 被保険者の三親等内の親族(伯叔父母、甥姪等) |
被保険者と内縁関係にある者(または内縁関係にあった死亡した者)の父母および子 |
被扶養者は日本国内に住所を有する人とされますが、次の場合に該当すれば、海外に居住していても例外的に被扶養者となることができます。
なお、いわゆる「医療滞在ビザ」で来日して国内に居住する人は被扶養者から除外されます。
被扶養者の年収
「被保険者に生計を維持されていること」が被扶養者の要件ですが、「被保険者に生計を維持されている」は、どのように判断するのでしょうか。
年収の範囲が次に該当する場合、「被保険者に生計を維持されている」と判断され、被扶養者となります。
同居の 場合 | 年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年収180万円未満)で、かつ、被保険者の年収の2分の1未満であるときこの条件を満たさない場合でも、被扶養者として認められる場合があります。 |
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別居の 場合 | 年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年収180万円未満)で、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ないとき |
会社員の妻が夫の被扶養者になるには、パートなどによる年収が130万円未満である必要があります。それ以上となった場合は、本人がいずれかの公的医療保険の被保険者となり保険料を支払わなければなりません。