中小、人手不足が経営圧迫
2024年の企業倒産件数が11年ぶりに1万件超え
2024年の国内企業倒産件数が11年ぶりに1万件を超え、前年から約15%増加したことが明らかになりました。このうち、中小企業の倒産が大部分を占めており、円安によるコスト上昇や慢性的な人手不足が経営を圧迫しています。さらに、新型コロナウイルス対策として導入されていた社会保険料や税金の猶予措置が終了した影響も大きく、特に破産の増加が目立ちました。負債総額は約2.4%減少しているものの、厳しい経営環境に直面している企業が多いことが伺えます。
倒産件数が増加した業種と背景
倒産は多くの業種で増加傾向を見せました。特に、「サービス業他」の分野では飲食業を中心に倒産が増え、1990年以降で初めて年間3,000件を超えました。また、建設業では資材価格の高騰に加え、労働環境の規制強化など「2024年問題」とも呼ばれる課題が影響し、人手不足が直接的な要因となったケースが多く報告されています。一方で、金融・保険業や不動産業の倒産は減少傾向にあります。
地域ごとの動向と人手不足の影響
地域別では、北海道から九州まで全国的に倒産件数が増加しました。特に、人手不足が原因となった倒産件数は約8割増加し、比較可能な統計が始まった2013年以降で最多となりました。また、後継者不足を背景とした倒産も過去最多を記録しており、中小企業の事業承継が大きな課題となっています。
社会保険料や税金滞納が原因の倒産が急増
社会保険料や税金の支払いが困難で倒産に至ったケースは前年の約2倍となる176件に達しました。一方で、新型コロナウイルス対策として行われた「ゼロゼロ融資」の返済が困難で倒産した企業は減少したものの、借り換えなどで一時的に倒産を回避している企業も多いとみられています。専門機関は「抜本的な経営改善ではなく、資金繰りの延命措置が主な要因」と指摘しており、経営の持続可能性が今後の重要な課題となるでしょう。
企業倒産とは
企業倒産とは、借金の返済ができなくなったり、事業運営が継続できなくなったりした場合に発生します。法的な倒産には、資産を清算して事業を終了する「清算型」と、再建を目指して事業を継続する「再建型」があります。特に「清算型」の代表例である破産が倒産の大部分を占めますが、再建型では他社の支援を受けながら再建を目指すケースもあります。