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独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度をFPが解説

大学や専門学校への進学は、人生に選択肢を広げるための重要な投資と捉えることができますが、教育費の負担はご家族にとって大きな問題です。授業料減免や無償化によって負担は軽くなっておりますが、受験費用、一時払いの入学金や生活費の捻出が課題となることが多いです。そこで、多くの学生が活用しているのが「奨学金制度」です。

その中で、もっとも代表的な存在が独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度です。JASSO)の奨学金は国が実施していることもおり、原則返還不要の給付奨学金と卒業後返還する貸与奨学金があることから約8割の進学希望者が利用されていると言われています

今回は、ファイナンシャルプランナーの視点から、この奨学金制度の特徴や活用方法について解説していきます。


JASSO奨学金制度とは?

JASSO(日本学生支援機構)は、国が提供する奨学金制度を運営している機関です。JASSO奨学金には、大きく分けて2つのタイプがあります。

  1. 貸与型奨学金(返済が必要)
  2. 給付型奨学金(返済が不要)

それぞれの特徴や条件、メリット・デメリットを見ていきましょう。


1. 貸与型奨学金:返済が必要な奨学金

1-1. 第1種奨学金(無利子)

第1種奨学金は、無利子で貸与される奨学金です。家庭の経済状況や学力に応じて選考され、主に成績が優秀で、家庭の収入が一定基準以下の学生が対象となります。

  • 貸与額の選択
    • 大学の場合、満額では月額20,000円~54,000円(自宅通学)または20,000円~64,000円(自宅外通学)の範囲で選択可能です。
    • 高校卒業後すぐの進学で、学費や生活費が多額になる場合でも無利子で利用できるのが魅力です。
  • 返済開始:卒業後、一定の猶予期間を経て返済が始まります。
  • FPからのアドバイス: 第1種奨学金は無利子であり、他の借入金(例えば教育ローン)に比べて非常に有利です。学力基準が、高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であるものの基準を満たさない場合であっても、学修意欲がある者として学校から推薦されれば、第一種奨学金の学力基準を満たす者として取り扱うことができます。返済負担を抑えたい家庭には積極的に検討する価値があります。

1-2. 第2種奨学金(有利子)

第2種奨学金は、利子がかかる奨学金ですが、第1種に比べて貸与対象の範囲が広く、家庭の経済状況や学力の要件が緩やかです。利息は上限が設定されており、民間の金融機関と比較すると低い金利で貸与が受けられます。

  • 貸与額の選択
    • 大学の場合、月額20,000円~120,000円の範囲で選択可能です。
  • 利息の上限:年1.110% ※令和6年9月時点(貸与期間中は無利息)
  • 「利率固定方式」は貸与が終了した月の利率が採用され、その利率は奨学金の返済が終わるまで返還額は一定に対し、「利率見直し方式」は、およそ5年ごとに利率の見直しが行われ、市場金利次第で利率が高くなったり低くなったりするものがあります。
  • FPからのアドバイス: 第2種奨学金は有利子ですが、教育ローンよりも低利率で利用できることが多いため、十分検討する価値があります。ただし、返還は貸与終了月の貸与利率が適用されますので、卒業後の利息負担も考慮し、できるだけ無理のない返済計画を立てるようにする必要があります。

2. 給付型奨学金:返済が不要な奨学金

給付型奨学金は、返済の必要がない奨学金です。これは、特に経済的に厳しい家庭の学生を支援するために導入されました。給付型奨学金は、家計の状況に応じて選考され、採用された場合は、毎月定額が支給されます。

  • 給付額:家庭の収入状況や通学形態(自宅通学・自宅外通学)に応じて、支給額は異なります。
    • 自宅通学の場合:月額7,300円~29,200円
    • 自宅外通学の場合:月額16,700円~66,700円
  • FPからのアドバイス: 返済の必要がないため、できるだけ給付型奨学金を優先的に利用したいところです。
    給付奨学金の対象者は、進学した大学等で申請することにより、授業料、入学金の減免を受けることができます。
    家計状況が厳しい家庭には大きな助けとなる制度なので、該当する場合は早めに申請しましょう。

3. 奨学金の申請手順と注意点

3-1. 申請方法

奨学金の申請は、主に「予約採用」と「在学採用」の2つの方法があります。

  • 予約採用:進学前に奨学金を予約する制度です。高校在学中に申請し、進学が決まる前に奨学金の利用を確定させることができます。
  • 在学採用:進学後に学校を通じて申請する方法です。進学先の大学や専門学校に入学後、改めて奨学金を申請することが可能です。

3-2. 注意点

奨学金を利用する際には、将来の返済義務があることをしっかりと理解しておく必要があります。特に第2種奨学金は有利子であり、返済額が膨らむ可能性があります。家計や将来の収入見込みを考慮し、無理のない金額を選ぶことが重要です。


4. まとめ:奨学金制度を活用するためのポイント

JASSOの奨学金制度は、多くの学生にとって高等教育を支える重要な手段です。しかし、将来の返済計画や家計への影響を考慮し、慎重に利用することが求められます。

奨学金を借りる際には家計の状況を正確に把握し、必要な金額のみを借りるようにしましょう。また、無理のない返済計画を立てることが、将来の負担を軽減するための重要です。

奨学金は賢く利用すれば、学生の夢や目標を実現するための強力なサポートとなりますが、計画的に活用することが大切です。春先になると高校や進学先のオープンキャンパス等で奨学金の説明会等が開催が多くなりますので、奨学金制度についての理解を深め、適切な選択を行いましょう。

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